将棋

荒木三段、自力四段昇段の権利確保!

荒木三段2連勝キタ!

当ブログでも以前「荒木三段の四段昇段待望!」の記事を書かせていただき、NHK杯将棋トーナメントの記録係としてテレビ画面でもおなじみの荒木宣貴三段が8月24日の奨励会三段リーグ第16,17回戦で2連勝して、ここまで12勝4敗で今期の成績順位が3位。

これで9月11日の最終18,19回戦で2連勝すれば四段に昇段できる、いわゆる「自力」になった。
前期の成績による序列順位は18位で成績順位は3位だが、同じ4敗で序列順位2位成績順位1位の佐々木三段(15歳)との直接対決が18回戦にあるからだ。

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『羽生の一手詰』超オススメします!

『羽生の一手詰』を読んだ。

息子(小学6年生)のアユムくんに買ってやったものだが、彼が読み終えた後、私も読んだ。
買ってやってよかったと思った。
これは間違いなく脳にイイ!!

一手詰みなんか、あまりにも簡単すぎて退屈すると思いきや、これがまた、ちょうどよく脳ミソをひねらせてくれる。

1題だけ引用してみよう。
本の表紙カバーのうしろ側にも載っている1題だ。

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将棋は四十代から強くなる

最近、プロ将棋界の中年〜老年パワーがすごい。

うちのニョーボに言わせると、
「将棋はおじいさんになるほど強くなる」 らしいが、プロの将棋界はそうなっていない。

四十代が近づくと、たいていの棋士は衰えてくる。
特に今の棋士たちの定跡研究会が充実している時代では、憶えておくべき情報の量が膨大過ぎて、単純に記憶力が衰えてくるととても厳しい。

「羽生世代」と呼ばれる森内、佐藤、藤井、丸山(いずれも九段)あたりも全盛期からは明らかに勢いが落ちている。
彼らは今年40〜41歳になる世代だ。

羽生名人だけがいまだに三冠を保持していて、今期は朝日杯やNHK杯でも優勝しており、全く衰えていないように見えるが、ご本人は明らかに記憶力が落ちていると自覚しているそうだ。

まあ、この人は別格としても、ほとんどの棋士は40歳前後で明らかに下降線に入っている。

ところが、だ。
この2年ほど、逆転現象が起こっているのである。

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NHK杯将棋トーナメントで新鋭糸谷五段を制して羽生名人が優勝

「今日、羽生名人がNHK杯将棋トーナメントで優勝したぞ」
とニョーボに言ったら、

ニョーボ「ええっ?羽生さんほどの棋士でもそんなテレビの将棋大会に出場するの?」
わし「そりゃ、出るよ」
ニョーボ「優勝して当たり前じゃない?他の参加者は怒ってないの?」

どうやらNHK杯将棋トーナメントをアマチュアのテレビ将棋大会だと思っていたようだ。
そんなのに羽生が出ちゃうって、巨人が甲子園の高校野球に参加するようなものか。

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有吉九段は永遠に引退しない?

またアクセス数が伸びているので、今度は何かなと思ったら、どうやら2ちゃんねるの将棋板の「奨励会・三段リーグ・フリークラス」スレにリンクが張られていたからのようだ。

張られていたのは私が2月4日のエントリーで書いた「有吉九段は絶対に引退か?」

そして、それとともに、日本将棋連盟サイトの「引退規定の変更について」へのリンクも張られていた。


【現在】
引退が決まった年度末(3月31日)。
【変更後】
引退が決まった年度に勝ち残っていた棋戦の最終対局日。但し、テレビ棋戦の場合は、対局の放映日。
この変更により、有吉道夫九段の引退日付は2010年3月31日から、最終対局日に変更となります。

そう、引退規定がつい3日ほど前に変更になっていたのである。
このことについては私のファン交流掲示板のほうでも読者の方からご指摘があったので知っていた。

まさか、私が書いたエントリーが影響したわけではないだろうが、これで私の疑問は払拭された。
有吉九段は残っている棋戦に勝ち続ける限り、最終対局日は来ないのだ。
タイトルを取って防衛し続ければ、命ある限り、最終対局日を永遠に回避し続けることができるのだ。

……と、思ったのだが。

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里見女流新名人誕生

「将棋に女子高生名人 里見が「女流」奪取、2人目の10代2冠」

女流棋士の里見香奈が清水市代から女流名人を奪取した。
まだ女子高生で17歳。

この人、本当に強い。
女流枠を超えて強いと思う。

男女の若手棋士が混ざって戦う公式戦の新人王戦でも、棋聖戦の挑戦者決定戦まで行った若手ホープの稲葉四段を破っているし、「将棋世界」誌企画の東西対抗戦でも村山四段(序盤は村山に聞け、と言われるくらいの定跡通)に勝った。

里見新名人は最初から女流枠でプロになったわけだが、奨励会ルートで男性と同じプロ棋士を目指していたら、今ごろ三段リーグに入っていたかもしれない。
三段リーグを抜けるのは至難のワザだが、里見さんならもしかして、という雰囲気はある。

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いよいよ渡辺竜王対羽生名人の名人戦が観られるか?

昨日(というか日付では今日)、渡辺竜王が順位戦でA級昇格を決めた。
おめでとうございます。ずっと待ってました。

ニフティの有料中継サイトでずっと観ていた。
1月半ばから2ちゃんの書き込み規制に巻き込まれていて実況スレで応援できなかったのが残念。

終盤、両者一分将棋になり、勝ち負けが二転三転するすごい将棋だった。
深浦王位もさすがの強さで、王位三連覇しているだけあるなと思った。
投了前数手のところで敗着を指してしまったが、あんな将棋を間違わずに指すのは羽生名人でも無理なのでは。

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有吉九段は絶対に引退か?

将棋の有吉九段がとうとう引退することになった。

前期の順位戦ではギリギリで降級点を避けて踏みとどまったが、今期は9回戦終了時点で2勝7敗となり、C2クラスからの降級が決定。

C2の下のフリークラスは60歳が定年。(事前にフリクラ宣言せずに降級した場合。)
74歳の有吉九段は自動的に引退というわけだ。

61歳の時点でA級に在籍していたし、通算で1000勝を越えていて、文句なしの一流棋士。
昨日のA級順位戦では永世棋聖の資格を持つ佐藤九段がB1に降級したりしているし、羽生名人だって60歳までA級を張れるかはわからない。

有吉九段、本当にお疲れさまでした。

ところで、将棋連盟のサイトで調べてみたんだけど、有吉九段はまだ棋王戦予選に残っている。

もし、どんどん勝ち上がって棋王位を取ってしまったら、失冠するまで引退しなくていいの?

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山崎七段タイトル戦に初挑戦!羽生を撃破できるか!

今日は羽生名人・棋聖・王座・王将 対 山崎七段の王座戦第一局。

山崎七段はタイトル戦初挑戦。
現在、奪取が一番難しいと言われる王座(羽生が17連覇中)だが、今の山崎七段ならもしかしたらと思わせるくらいの勢いがある。

山崎七段は渡辺竜王と同世代で、順位戦C級2組から2人は昇進にしのぎを削ってきた。
しかし、途中で渡辺が竜王位を獲得して5連覇したり、B級1組への昇級でも先を越されるなど、山崎は後塵を拝し続けてきた感がある。

才能は渡辺竜王以上と言われていて、2004年度のNHK杯将棋トーナメントでは決勝で羽生を破って優勝。
続いて、その年の朝日オープン選手権でも羽生に挑戦し、この時は渡辺にしっかり追走していると思った。

だが、山崎はイマイチ将棋に全てをかけていないというか、遊び人の印象が……。
研究嫌いだったり、夜遊びしてほとんど寝ずに対局に来たりとか。
2006年の64期名人戦のテレビ解説では、聞き手だった女流の矢内理絵子に生放送中、告白しちゃったり。
棋界屈指のイケメンなので、当時はかなり話題になった。
渡辺竜王が「山崎さんはちゃんと将棋に打ち込んだらとても怖い棋士」みたいなことを将棋誌のインタビューで言っていたことがある。

将棋の内容はとても面白い。
定跡に長けていないから、序盤で作戦負けすることが多いが(対局中に控え室にやってきてため息ついて戻っていく)、そこから力将棋でどんどん盛り返し、いかにも才能を感じさせる冴えた手を連発して、渡辺竜王やA級棋士にも勝ったりする。

棋士達みんなが研究しまくっているような定跡に山崎がすごい新手を放って(研究してないからできる?)、それがまたその定跡全体を考え直させるようなすごい手だったりする。
「山崎新手」「新山崎流」といった名前もついている。

で、今、その山崎七段がとても充実しているのだ。
今期、ここまで7割6分9厘と勝率が全棋士中3位。
勝数、対局数は2位。
B級1組でもまだ1敗で、渡辺竜王らと並んでトップグループに入っている。

そして、王座戦ではトーナメントで渡辺竜王を含むトップ棋士達をなぎ倒して、ついにタイトル初挑戦を決めた。
こないだのNHK杯戦の放送では解説者を務め、聞き手の矢内女王に励まされていた。
2人のやり取りはギクシャクしたところが微塵もなく、とても仲良さそうで、3年前の告白がついに実を結んだのかもしれない(笑)。

今、午前10時ちょい過ぎ。
山崎先手で相掛かり戦になっているようだ。
相掛かりは山崎七段の得意戦法。
堂々と受けて立つ羽生王座。

王座戦は持ち時間5時間。1日で決着がつくタイトル戦なので、夕方前あたりから目が離せなくなりそうだ。
山崎が先勝したら、相当面白いシリーズになると思う。

(山崎七段の写真は王座戦中継ブログより引用。)

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荒木三段の四段昇段待望!

日本将棋連盟の奨励会三段リーグに所属する荒木三段が、今、大きなチャンスを迎えている。

と言っても、かなりの将棋ファンじゃないと、いったい誰のことやら?だろう。

荒木宣貴三段は米長邦雄門下の23歳。
これまで、三段リーグではたいした成績をあげておらず、地味な存在だった。
あともうひと伸びがなければ、じきに26歳を迎えてしまい、規定により奨励会を退会してしまう1人なのかなあと思っていた。

しかし、今期第45回奨励会三段リーグ戦では、あと3戦を残して10勝5敗と、(順位は悪いが)もしかしたら昇段?というところまで来ているのだ。

私が荒木三段に注目しているのは、彼がNHK教育の日曜午前10時20分から始まる「NHK杯将棋トーナメント」の記録係として(私が一方的に)顔なじみだからだ。

他にも記録係はいるが、荒木三段は私にとって傑出して印象的だ。
私のマンガの「榎田君」(メチャクチャ頭がいいのだが、驚異のこだわり人間)にそっくりなのだ。
外見もそうだが、性格がまさにエノキダ的。

彼は、それが幸いしてか、将棋も(三段まで来るくらいだから)強いが、記録係としてもこれ以上ないくらい優秀だ。

対局する2人の棋士の横には、棋士の方を向いて荒木三段と棋譜読み上げ係の女流棋士が座っていて、棋士と係の間には長いテーブルがあり、その上に対局時計が載っている。

対局開始が告げられ、棋士同士が互いにお辞儀をした直後、荒木三段の右手が大げさに宙を舞って対局時計に伸びる。

カシャッ 

と大きな音を立てて、時計上部のスタートスイッチが押される。

スイッチを押した手が反動で跳ね上がるようにまた上に舞う。

番組中、終始無表情で、とても地味そうな彼がこのオーバーアクションをするのは、対局者に「時計を動かし始めましたよ。初手を指しても大丈夫ですよ」と知らせるためだ、と思う。

初手を指す際、多くの棋士は盤面の方を見つめて集中しているので、棋士の耳にスイッチ音を届けるとともに、棋士の視界の片隅にスイッチを押した自分の手を入れたいのだろう。

そこからもすごい。
対局時計の表側は、持ち時間15分ずつの経過具合を棋士に見せるため、当然棋士側を向いている。
しかし、荒木三段は必ず1回は時計をひっくり返して、針がちゃんと動いているかどうか確認するのだ。

そして、持ち時間が切れて、1分×10回の考慮時間もなくなると、いよいよ1手30秒の秒読み。
ここから荒木三段の人間らしさが表に出てくる。

普通の棋戦は持ち時間が切れると1手1分なのだが、早指し戦の30秒というのはプロでも相当短く感じられるらしい。
だから、「9」直前まで考えてあわてて指す棋士も多い。

荒木三段が発する「9」はすごく気持ちが出ている。
「8」までは機械のように淡々と読むのだが、ギリギリで指す時の「9」は力が入る。
「やめてくださいよ、もう。胃がキューッと縮むじゃないですか、キューッと」の「キューッ」なのだ。

棋士の負けが確定する「10」を読ませたら彼はどうなってしまうのだろう。

そして、私が一番注目しているのは、冒頭に書いたように彼の四段昇段、つまりプロ棋士昇格だ。
現在12勝3敗とかならブログで採り上げるのはやめようと思っていた。
ここから意識し過ぎて最後にポロポロッと落として昇段を逃す三段をたくさん見てきたから。

だが、現況は、開き直って3連勝が最低条件、後は運待ちって感じなので書いてみた。

私がブログで採り上げさせていただいた竜王戦の渡辺竜王フリクラ突破間近の瀬川四段は、私の希望通り、逆転4連勝で永世竜王獲得・順位戦棋士昇格を果たしている。
言わば、私の勝手なゲンかつぎだ。

荒木三段が晴れて四段に昇格したあかつきには、私はぜひとも彼がNHK杯の予選を突破してテレビ中継のある本戦へと進んでくれることを念願している。

対局者はどちらかが投了を告げるとお互いにお辞儀をする。
そしてその直後に読み上げ係が「まで。○○○手で△△七段の勝ちでございます」とか言い、対局者に向かって深々と一礼する。

その際、棋士の方は対局者同士向き合ったままで、記録・読み上げ係の方には一瞥もくれない。

だが、荒木四段だけはきっと、体をしっかり2人の係の方に向き直し、深々と心を込めてお辞儀を返すに違いない。

私はその瞬間を観たら泣くかもしれない。

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