モーニング「食」増刊10月13日発売!
すでにこのブログやツイッター等で予告してきましたが、いよいよモーニング「食」増刊 が10月13日に出ます。
季刊で年4回刊行です。
私も『実在ゲキウマ地酒日記』という作品で新連載を開始します。
第1〜3話いっぺんに掲載で、第1話が8ページ、2〜3話は各6ページです。
この作品はイブニングでも10月25日発売の22号から新連載が開始されます。
こちらは毎号1話ずつの掲載で、1〜3話に関しては、少しアレンジがあるものの、「食」増刊と同じマンガが載ります。
第1話は作品の導入部なので、どうしてもかぶらざるを得ず、2〜3話も地酒選びの初期の基本みたいなことを描いていますので、イブニングと「食」増刊で、あえてかぶらせた、という具合です。
今回の「食」増刊第1号ではイブニングでの新連載『実在ゲキウマ地酒日記』の最初の3話分を先に読める、という感じに取っていただければ幸いです。
「食」増刊の第2号は来年の2月ごろになるかと思いますが、その時はイブニングとかぶらないようにする予定です。
2004年にモーニングでの『うああ哲学事典』の連載が終了し、モーニングでは新たな連載オファーがもらえなくなって以来、いろんな経験をさせていただきました。
あのモーニング誌でデビュー以来、18年間、連載をほぼ途切れることなく続けていたという実績は大きくて、SPA!誌に持ち込みに行ったら、けっこうすんなり仕事をもらえました。
最初に対応してくれた担当編集者さんや、編集長までも、私の作品を知っていました。
担当さんは大学時代に『気分は形而上』を読んで下さっていた、私のマンガのファンでした。
しかし、SPA!さんで連載を開始した私は、すっかりチャレンジ精神を失っていました。
モーニングから切られたことが大ショックだったのでしょう。
雑誌に合わそう、合わそうと必死になっていました。
SPA!なら時事ネタだ。
その時話題になっていること、皆が興味を持っていることを描かなきゃならない。
自分が描きたいことは抑えろ。
実験的な作品など論外だ。
とにかくSPA!の読者に当たり前に、カメレオンのように目立たないように溶け込んで、受け入れられるようなマンガを毎週描くんだ。
こんなふうに考えていました。
でも、それは失敗でした。
個性を全く発揮することができず、単行本も売れず、編集長の交代とともに連載も打ち切りになりました。
担当さんは私にもっと自由に描かせようとして下さっていたと思います。
私の方にもう少し度胸があれば、そうできたのに、今では担当さんに申し訳ないという気持ちしかありません。
で、その後、このブログの過去ログにもあるように、『けつちゃん』や『ゴキちゃん』で仕事は何とか続いたものの、声をかけて下さった編集さんに恩返しすることもできないまま、連載は終わってしまい、2008年あたりから苦難の日々が続くこととなりました。
仕事は中日新聞と竹書房「本ゆ」の連載は続いていたものの、その収入だけでは生活が成り立たず、必死の思いで持ち込み営業を続けました。
しかし、その頃も私の受け身な姿勢は続いていました。
持ち込み先の雑誌に合わせたマンガを描こうと、そればかり考えていたのです。
でも、それはやはり裏目に出ました。
そもそも編集者は、自分があっと驚く作品がほしいのです。
いろいろと作品に口出ししますが、それは口出ししたような内容のマンガにしたいわけじゃなく、それを超える、自分では想像もできないような面白い作品を引き出すために言っているのです。
自分の意見や、自分のところの雑誌に合わせようとしてくるような考えのマンガ家による無難な作品などいらないのです。
相手に迷惑がかかるかもしれないので、持ち込み先の具体名は伏せますが、とにかく営業では不採用の連続でした。
まあまあの反応をくれながら、いつまでも具体的な仕事の話にならない編集部には参りました(私側の勝手な事情ですが)。
なにしろ生活がかかっていて時間がない。
あきらめて、次のところに同じ原稿を持っていこうか迷っているうちに1〜2ヵ月くらいすぐに経ってしまいます。
メールで色よい感じの返事をくれていながら、そのままずっと放置する編集部も。
で、こちらからしびれを切らしてお尋ねのメールを出すと、全然ダメという返事が……。
ダメならどうしてすぐに返事をくれないのか……。
それもこれも私側の勝手な事情に過ぎません。
使う気のない作品などには、まともな返事はしないというのが、この実力主義の業界の常識です。
描いてほしい作家・作品には即座に応答が来るものです。
来ないならば、見込みがないということなのです。
でも、ほんのわずかの可能性にも賭けたい状況に置かれていた私には、それはとても厳しい対応でした。
そんな苦しい経験を3年近く続けたある日、私は開き直りました。
自分が本当に好きで、のめり込んでいることをそのまんまマンガにしよう。自分の感動をそのまんまマンガで読者さん達に伝えよう。
メジャー誌で描けていた時代、自分はそういうマンガを描いていたし、そういうマンガが自分は得意なのだ。
もう一度、自分が描けるベストなマンガを描いて勝負して、それでダメなら廃業しよう。
そう考えました。
そこで、2010年の暮れに持ち込み用のネームを描いたのが、『実在ゲキウマ地酒日記』の1〜3話です。
特に1話目には、その時の自分を全部ぶち込みました。
そして、金がないので夜行バスで東京に行き、イブニングの編集さんと、編集長さんに直接見てもらい、採用されました。
このお二人は、私がモーニングで『気分は形而上』を連載していた頃の担当さんと、『それはエノキダ!』を連載していた頃の担当さんです。
この世界、過去のツテだけで採用されるほど甘くはありません。
やはり、私のマンガの面白さを理解してくれる人だから、私の最後の思いが伝わったんだと思います。
今回の新連載『実在ゲキウマ地酒日記』は、本当に自分が飲んでおいしいと思える地酒に出会うには、こういうルートで行けば最も確率が高いのではないか?
そのコツみたいなものを紹介するマンガになっています。
また、家でニョーボと晩酌する楽しさ、うまい酒のツマミを作る楽しさも存分に描いているつもりです。
ぜひとも読んでいただきたい、私のマンガ家人生における最終最後の勝負作です。
今度という今度は、編集さんに、何がなんでも恩返ししないと、私は生きている価値すらないと思っています。
どうか応援、よろしくお願いいたします。
命がけで描いていきます。
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