「裏」鍋島
「裏」鍋島 純米吟醸 隠し酒 生 1800ml 2630円を飲んだ。
「裏」で「隠し酒」である。なんか思わせぶりだ。
ラベルの「鍋島」の文字も左右に反転している。
以前、このブログで「鍋島のラベルの字は子供が習字で書いたみたい」などと失礼なことを言ったが、左右反転しても字のバランスがいいので驚いた。
こういう字は本当にうまい人の字だと思う。
私なんか、自分の絵を反転させるとひどいことになる。
左右のバランスがメチャクチャになり、人の顔など思い切り歪んでしまう。
要するに最初から歪んでいるということだ。
脳も含めて身体の左右バランス自体が良くないのだろう。
子供の頃から、跳び箱をするとうまくマットの真ん中に着地できなかったし、水泳をするとどんどん曲がっていった。
もう、この歳だし、歪んだまま人生を真っ当するか。
で、裏鍋島だが、なんで裏なのかというと、ちょっと特殊な作り方だからだ。
鍋島には汲み方の違いで、大きく分けて3種類ある。
「あらばしり」といって、醪(もろみ)を詰めた酒袋から酒を搾る際、最初にほとばしり出てくる部分を瓶に詰めたもの。
「中汲み」といって、あらばしりの後に出てくる中間部分。
ここが一番雑味が少なく、かつ米の旨み・甘みも濃くて、おいしいと言われている。
そして、最後に袋に強めの圧をかけて搾り取る「せめ」の部分だ。
裏鍋島は、この蔵で造る、特A山田錦・山田錦・五百万石・雄山錦を原料にした純米吟醸酒の「せめ」の部分をブレンドして瓶詰めした酒なのだ。
「せめ」の部分は一見、おいしいところをさんざん搾った後の「でがらし」のようなイメージを受けるが、いやいや全然そんなことはない。
元々おいしい地酒の場合、この部分にこそ、凝縮した旨みと甘みが隠されている可能性が高いと私は思う。
当然、圧をかけるので雑味っぽさも出てしまうだろうが、それでも余りある旨み・甘みを手に入れることができるはず。
だって、醪自体が甘くて旨いんだから。
実際、飲んでみると、こないだご紹介した「特A山田錦」「山田錦」バージョンと比べれば、華やかな香りこそ減っているが、甘みは増している感がある。
ただ、米の旨みは同じくらいかな。
どうも、ブレンドというのがネックなのかも。
だいぶ前だが、マンガ家の尾瀬あきらさんに誘われて純米酒の選考会に参加したことがあるのだが、その時の飲み会で全国のゲキウマ地酒が集まっていて、最後にそれぞれの一升瓶にちょっとずつ余ってたので、もったいなくて1本に集めたことがある。
で、それを飲んでみたら、意外に平凡な味になっていたのだ。
この裏鍋島の場合は、同じ鍋島の蔵の酒であり、造りも共通しているので、けっして平凡な味にはなっておらず、鍋島らしい風味はそのまま。
特に甘みは相当のものになっている。
若干、香りと旨みのエッジが丸くなっているだけだ。
雑味は案に相違して全くない。
ぎゅうぎゅうに搾ったのに雑味が出ないとは!
さすがは鍋島である。
この酒、3360円や3500円の酒の醪を使っているにも関わらず、値段は2630円である。
この味でこの値段は超お得と言える。
毎年、出たら絶対1本は飲んでおきたい地酒である。
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