池田信夫さんはなぜ15%に怒ってるの?
ツイッターでボソッとつぶやこうと思ったが、確実に140字超えるのでブログで書く。
まとまった論じゃなく、なんとなく感じた疑問をつぶやくだけである。
例の「ひな形」に関して、きのうからネットのあちこちで一般読者と思われる人々が出版社批判をしているが、どうもよくわからない点がある。
今のところ、電子書籍の売り上げなんて全然たいしたことがないと思う。
だから、出版社にとっては、電子書籍の著者印税なんて、実は15%だろうが70%だろうが金銭的には大差ないはずだ。
したがって、むしろ、電子書籍市場であまりお金が動いていない今のうちに、出版社は資本力を生かし、多少の損を承知で逆に印税率を暫定的に80%くらいにしてしまえば、既存の作家の囲い込みには有効なはずだ。
それだけ高率なら、パブーやアゴラブックスなどにプロの作家は流出しにくくなる。
契約書は「黎明期における暫定印税率による暫定契約書のひな形」とでもしておけば、将来にわたって縛られることもないし。
でも、もしそれをやっていたら、ネットでは「出版社がダンピングをやって、ベンチャーの電子書籍サイト潰しを計っている」と騒ぎになっていたと思う。
で、私はそういう騒ぎならば理解可能だ。
しかし、15%で騒ぎになっているのはよくわからない。
作家達が苦情を言うのならまだわかるけども、一般読者にとっては、著者に回る金が少ない方が、その分、定価が下がる余地が大きくて得なんじゃないだろうか。
また、この件に関して池田信夫さんがブログで強く批判をしておられるけれども、池田さんはアゴラブックスの設立者の1人であって、出版社が低い印税率で据え置いていることは、ご自分達にとって有利な要素ではないだろうか。
池田さんは「ひな形」に関して、「(出版社連合が)カルテルを組んでいる疑いがある。」と非難をしておられるが、高い印税率で作家を囲い込み、出版社連合で独占しようとしているならともかく、15%なのだから、パブーやアゴラブックスのような会社は電子書籍市場に算入しやすいのでは?
それとも、出版社連合の中のいくつかの中小出版社が独自に電子書籍サイトを作りたいという希望を持っていて、もっと高印税率にしたいのに、大手出版社がそれを阻んでいるとかの情報を掴んでおられるのだろうか。
もし、何も情報を持ってないのなら、「カルテルの疑い」などと書くのは無理があるのでは。
(追記)
どうやら、私が昨日の記事で採り上げた「ひな形」は、池田信夫さんがブログに掲示した印税率15%の「デジタル的利用許諾契約書」とは別物のようだ。
おそらく、もう10年近く前から著者に送られている(私も『気分は形而上』や『よしえサン』などのを持っている)デジタル的利用許諾契約書と同じものだと思う。
印税率も文面も同じだし。
最近、日本書籍出版協会の「ひな形」ができたとの記事をasahi.comで見たことと、池田さんのブログ記事の内容を私が勝手に重ねて混同してしまったようだ。
申し訳ありません。
ただ、そうなると、池田さんがブログで、
講談社の野間副社長は「年内に2万点をデジタル化しろ」と社内に号令をかけ、同社のほとんどの著者に「契約書」を送っているようだ。
とおっしゃっているのは、前段はたしかにその通りかもしれないが、同社のほとんどの著者に「契約書」を送っている というのは、別段、今年に始まったことではなく、10年近く前からずっと講談社が(私の知る限り小学館や竹書房も)やってきたことである。
つまり、急に作家の囲い込みを始めたわけでもなんでなく、単に「年内に2万点到達をめざせ」と号令をかけただけではないだろうか。
これは見方によっては、講談社がいよいよ電子書籍に本腰を入れ始めたともとれる。
で、今、私が興味があるのは「ひな形」だ。
これはおそらくまだ中身を見た作家はごく一部であり(私は見ていない)、各出版社が作家に送っているデジタル化の契約書にも反映されていないのではないか。
印税率もわからない。
同じ15%なのだろうか。
それとも上がっている?下がってはいないと思うが。
というか、印税率は書かれていないのかな?
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