佐藤秀峰さんの「紙原稿のデータ化講座」を読んだ
佐藤秀峰さんのブログの「漫画制作日記」に「紙原稿のデータ化講座」が連載されているので読んだ。
う〜む……。
これでいいのかもしれないけど、私のやり方とはだいぶ違うし、疑問点があるので書いてみる。
佐藤さんはスキャンの際、原稿を斜めにスキャナー上に置くという。
こうするとモアレが軽減されるそうだ。
そして、取り込む際のモードはモノクロ2階調とのこと。
モノクロ二階調の600dpiで原稿を斜めにして取り込み、PhotoshopCS4の「画像の回転」「角度入力」で真っ直ぐに戻すという。
まず第一に、モノクロ二階調モードでは「角度入力」はできないのではないだろうか?
佐藤さんは「回転」を終えてからグレースケールにモード変換するというが、先にグレースケールにしてから「回転」と勘違いしている?
いや、実は私はまだCS3を使っており、CS4では可能なのかもしれない。
しかし、モノクロ2階調のままでは、まさにそのまま画像の角度が変わるだけで、線や模様自体の見た目は何も変わらないはず。
単に見る角度が変わっただけでモアレが減るとは思えないのだが。
そもそもそういう類いの回転はCS4の場合は「回転ビュー」でやるのではないだろうか。
私の推測だが、佐藤さんの言う、斜めにスキャンして「回転」で真っ直ぐに戻すとモアレが減るという現象は、「角度入力」で「画像の回転」をさせたことでモノクロ2諧調で取り込んだ線にフリンジがついて少しぼやけるからではないだろうか(つまり作業モードは必然的にグレースケール)。
その証拠に、佐藤さんはモアレがひどい時はさらに「ぼかし」をかけると取れる、と言っている。
だったら、最初のスキャンの時点からグレースケールで取り込んだ方がいいと私は思う。
モアレが出るのは取り込む解像度が低いからだろう。
最初の取り込みは解像度を可能な限り高くした方がいい。
なにしろ、それを自分の財産である原稿データとして残すのだから。
佐藤さんのシステムなら1200dpiでもいけるのではないだろうか。
重くなると佐藤さんは言っているが、最初だけである。
ゴミ取り程度の作業ならたいした影響はない。
配信でアップする際に扱いやすい適度な解像度に落とせばいい。
グレースケールで取り込むと原稿用紙のトンボの線まで出てしまうということだが、グレースケールの場合、原稿は全体的に地の白の部分も薄い灰色になって取り込まれるので、それを「トーンカーブ」なり「明るさ・コントラスト」なりで地が白になるまで補正(主線やスクリーントーンの部分との兼ね合いで一番きれいになるように)するわけだが、その作業でトンボなどはほとんど消えてしまう。
小さなゴミもかなり消える。
グレースケールで取り込んでいるので、主線やトーンの模様部分の線は最初から適度にフリンジがついて滑らかになっている。
解像度が高いのでモアレも出にくい。
解像度が高いということは情報量が多いということだ。
佐藤さんのやり方は、結果的に線が滑らかになりモアレも減るし、配信の際に扱いやすい解像度まで最初から落ちているわけだが、私のやり方に比べて途中の手間を省いているので、その分、絵の中の(作者にとって)大事な情報も飛んでしまっているかも(例えば効果線の「抜き」の部分とか)。
まあ、最終的には大差ないかもしれないが、大事な原稿なのでこのくらいはこだわりたいと思っている。
あと、これは蛇足かもしれないが、スキャナ付属のソフトで取り込んで、その後にPhotoshopで開くというやり方も気になった。
Photoshopにはスキャナ用の専用プラグインソフトが付属しているので、それを使ってPhotoshop上で直接取り込みした方がいいのではないだろうか。
手間も省けるし。
以上はけっしてケチをつけたくて書いたのではない。
私も自分の拙い経験から得た拙いノウハウしか書けていないのを承知している。
達人たちはもっと圧倒的な緻密極まりないノウハウを持っている。
(昔、パソコン通信時代にすごい人達と接することができて痛感した。)
できれば、ブログを持っているマンガ家達に原稿データ化のノウハウをそれぞれ書いてほしいところだ。
その緒になればいいなと思って私のやり方を書いてみた。
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