« 政権交代らしさはいつ発揮されるのか | トップページ | たけくまメモに相変わらず疑問を感じた »

近未来のマンガ界は都市?砂漠?

きのう発売されたiPadだが、前からわかっていたこととはいえ、まだまだ紙の書籍や雑誌の代わりとはいかないようだ。

ペラペラで、丸めたり軽く折り畳んだりできる本格的なペーパータイプまでいかなくても、せめて下敷きを持ち歩く程度にはならないとマンガファンの大移動とはいかないだろう。

大手〜中堅出版社はすでにこれまで10年くらいかけてオンラインコミック書店(イーブックJapanやRenta!など)やネット雑誌(モーニングツーをiPhoneで配信するとかミチャオなど)を模索してきた。
紙からネットへのメディア移行を見越して、ソフト的なインフラ構築はかなり進めてきたわけだ。

だが、それも、紙に限りなく近いハードが出来上がり、普及しないことには金を生む本格ビジネスにはなり得ない。

出版社としては、今後出てくるどんなハードと組むか、そしてそれにどう先行投資していくか悩みどころだろう。
すでに大手出版社では、お偉いさん達が連日議論を重ねているようである。

一部、ネット上では、「マンガ家は出版社をすっ飛ばして、印税70%のアマゾン・キンドルでのマンガ配信に行ってしまう」みたいな予想をしている人達がいるようだが、ほとんどのマンガ家達はそんな安易な行動は取らないだろう。
理由はこないだのエントリーで書いた通り。

だいたい、現時点ではマンガ家個人がネット配信してもハード的に不便だから読んでもらえず、メリットがない。

そして、紙に代わる電子ペーパーが普及しネット配信でマンガが十分に売れるようになれば、これまでの出版システムがそのままネットに移行してマンガ家にたっぷりメリットが来るので、わざわざ大きなリスクを背負って個人配信する必要はなくなる。

つまり、マンガ家がこぞって個人ネット配信に民族大移動するような状況は来ないのだ。

ただし、出版社からはもう絶対出る見込みがないような絶版作品をマンガ家個人がネット配信することはあるだろう。

あるいは、どの出版社からも見切られてしまったマンガ家が捲土重来を期してインディーズ配信とか。

あるいは、力はあるが人間関係が苦手で、どこの編集者ともうまくやれず、1人で描いて発表するしかなくなったマンガ家とか。
 
 
マンガ出版界に望みたいのは、各出版社が一つになって、ハードを開発する企業にしっかり投資し、話し合い、協力してマンガのネット出版世界を築いていくことだ。

出版社によってハードが違うとか、OSが違うとか、読み込むための形式が違うとか、そんなマンガファンがあきれるようなマンガ配信システムになったらおしまいだ。

そうなってしまったら、ネットマンガ界は個人配信中心の広大な砂漠になるだろう。
砂金も混ざっているが、探すのにうんざりしてしまうような。

そこではもはや、マンガ家という職業は基本的に成り立たない。

巨大なピラミッドが5個ほど、中ピラミッドが20個、小ピラミッドが100個ほど見える広大な砂漠。

やはり、出版社という都市がないと、マンガ界はシステムとしての形を成さないだろうと思う。

| |

« 政権交代らしさはいつ発揮されるのか | トップページ | たけくまメモに相変わらず疑問を感じた »

マンガ業界」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 近未来のマンガ界は都市?砂漠?:

« 政権交代らしさはいつ発揮されるのか | トップページ | たけくまメモに相変わらず疑問を感じた »