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マンガ出版界の大政奉還?何、それ?

きのう、「たけくまメモ」に雑誌が“休刊”するときというエントリーがアップされ、その中に、

しかし、現在の社員配置は“紙”に特化した人たちで占められていますので、「電子メディア進出」が、今後どこまで成功するかは未知数です。

という見解が入っていた。

「現在の社員配置は“紙”に特化した人たちで占められて」いるというのはどのような状態なのだろう。
エントリーは小学館の話のようなので、私には具体的なことがわからないが、そもそも、竹熊さんは小学館の電子メディアに自分の作品を連載ないし掲載され、編集と打ち合わせをした経験があるのだろうか。
経験があるとすれば、小学館では「紙」と「電子」で編集作業に根本的な違いがあって、それをつぶさに作家として見知って今回のエントリーを書いたのだろうか。

私の経験で言えば、講談社の「MiChao!(ミチャオ)」の「ピテカントロプス」で『けつちゃん』を1年間ほど連載していたのだが、編集者の作業はと言えば、それまでの紙の雑誌における作業とほとんど変わりはなかった。

担当さんとは何度も名古屋と東京で会って打ち合わせをしており、作業工程もいろいろ聞いていたので間違いはない。

大筋のネタ打ち合わせをして、私がネーム(下描きに近い絵コンテ)を見せ、直しがあれば直し(ボツならボツになり)、通ったら原稿を完成させて送る。
ここまで、「紙」の時と何も変わらない。

原稿はデジタル化していて、メールで送ったりするわけだが、それはすでに、紙の雑誌であるコミックボンボンの『ゴキちゃん』の連載の時点から私自身が移行していたことだ。

作業工程の違いと言えば、完成原稿を受け取った担当編集者が、紙の雑誌の場合は印刷所に入稿するが、ネット雑誌の場合はネット配信作業の会社(講談社はビットウエイだったかな)に入稿するという、ただこの違いだけだ。

もちろん、何かトラブルが起こった場合のために、配信作業会社がどんな作業をするのかある程度わかっている(ネット関係にそこそこ詳しい)編集者がいなければならないのは確かだが、編集部に1〜2名いれば十分であり(行程を理解すれば十分で、プログラミング技術だの、深い専門性はいらない)、それはすでに各出版社は確保しているだろう。

まあ、中には、マンガ家から圧縮されて送られてきたデジタルデータを解凍する方法がわからなくて困る編集者とかがたまにいるけども、それはちょっと聞いて憶えれば済むことだ。
「紙に特化」していて全く対応不可能な化石のような編集者なんかまずいない。
仮にいたとしても、その手の作業だけ、わかる人に任せればいいのだ。
面白いマンガ作品を生み出す行程は今までと何も変わらないのである。

もしかして、竹熊さんはネット配信の場合、サイトに作品をアップしたり、そのための加工や画像変換作業、メンテ作業といったような、IT技術者がやるような作業を担当編集者がやらねばならないと思っておられるのだろうか。
あるいは、小学館では編集者がその手の作業まで担わねばならないシステムなのだろうか。

なんか、私には、竹熊さんが、紙メディアから電子メディアに移行するのはとてつもない大変化だと喧伝したがっているように見えて仕方がない。
最近は「大政奉還」という言葉も使っておられるようだし。

でも、私から言わせてもらえば、そんなもの、たいした変化には見えない。
単に、紙が電子に、メディア(媒体)が移行していくだけのことだ。
出版社が主導して、編集者とマンガ家が組んで、お金の取れる面白い作品を生み出して売っていくという、商業出版のシステム自体は何も変わらない。

鳩山恐慌で不況がひどくなって、大手出版社同士が合併なんてことも、あるいは起こりえるのかもしれない。
だが、それでもこれまでのマンガ出版のシステムは不変だろう。
本物の面白いマンガは商業出版システムでなければコンスタントに生み出し続けられないことは、プロなら自明のことである。

送り手が出版社から全く別のもの(個人?)に「大政奉還」されるなんてことは原理的に永遠にあり得ないのだ。

なんか、竹熊さんの見解を見ていると、これから起こりそうな状況にちょっとだけかするようなことを思わせぶりに書いて、いかにも近未来を予言したふうに見せかけているだけのように感じてしょうがないのである。

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