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佐藤秀峰さんは全てを公開すべき

目に見える形で具体化するまで、当面はじっと見守ろうと思っていたのだが、やはり疑問点は早めに表明しておこう。
マンガ家の佐藤秀峰さんが試みようとしているネット配信システムに関してである。

講談社にはすでにネット配信マンガサイトMiChao!があるが、それと佐藤さんが起こそうとしているシステムはどう違うのか?

編集家の竹熊健太郎さんも同じようにネットを最大限に利用した発表形態を模索しておられて、ネット上の噂では佐藤さんのアドバイザーでもあるみたいだが、MiChao!に関しては詳しく触れておられない。

今のところ、佐藤さんの日記を読んでも、MiChao!とは全然違う画期的な形式を用意しておられるのかどうかわからない。

他のマンガ家の参加を望んでおられるようで、直に問い合わせれば個別に詳しい内容を教えていただけるみたいだが、今、サイト上で詳細を発表しないのは、他の人や企業に真似されたら困るようなすごいシステムを企画しておられるからだろうか。

仮に、もし、MiChao!とほとんど同じ形式でのネット雑誌になるのなら、個人ではとても運営しきれないだろうと思う。
私は「ピテカントロプス」で『けつちゃん』を連載していたが、マンガ作品を入稿してからネット掲載されるまでにはかなり専門的な工程があるようだ。
専門スタッフを雇うか、その手の配信会社と契約するかして、かなりの初期投資をしなければ商業として成立するサイトにはなり得ないのではないか。

サイトは開放するので自由に他のマンガ家にも参加してほしい、と佐藤さんはおっしゃっているが、参加するマンガ家にも費用の分担はあるのか?あるとすればいくらくらいなのか?実費でもかなりかかると思う。参加人数にもよるけど。

私は、こんなの無理だろ?的視点でイチャモンをつけたいのではない。
メリットのほうが大きいなら、私も参加したいところである。

私の場合で言えば、過去に単行本にならなかった『小学校の先生よっ』(BE LOVEで連載された)を有料で再掲して、できれば単行本にもしたいので、発表の場として使わせてもらえるなら参加してみたい。

しかし、MiChao!での経験や、自分の作品のオンラインコミックの売り上げから考えて、今、マンガのネット配信で食べていくのは、多くのマンガ家にとってかなり困難なことだろうと思う。

MiChao!にも小林まことさんやかわぐちかいじさんといった大御所さんが描いておられるが、ちっとも話題にならない。
ちょっと前はあの福島正美さんが『聖マッスル』の新作を描いておられたが、これも全く話題に上らなかった。
ピテカントロプスの最後の方ではちばてつや巨匠の描き下ろし絵本マンガも載ったが、これも世間はスルー。

毎日更新されるダウンロードベスト10にはエッチマンガばかりが載っている。
エッチマンガの価値は認めるけども、大御所がトップ10にも入らないのは不思議すぎる。

おそらく、ネット配信のマンガを読む層は、雑誌でマンガを読む層とは全く違うのだろう。
マンガオタクすらネット配信のマンガまでは読まないのではないか。

このような状況を佐藤さんは把握しておられるのだろうか。
把握した上で、それとは違う、成功が見込める画期的で周到なシステムの用意がすでにできているなら、マンガ界のためには、それをぜひ公開すべきではないだろうか。

そうすれば、そのシステムは多くの人々の批評の俎上にのる。
皆から検証される。
それで磨かれていくはずだ。

誰かが、それも大きな出版社がそのシステムをパクるかもしれない。
MiChao!が丸ごとそのシステムに乗り換えるかもしれない。

でも、それでもいいじゃないか。
それはマンガ界にとっても読者にとってもプラスのはず。
当然、多くのマンガ家にとってもプラスだ。

どうせ、今、秘密にしていても、スタートしてしまえば、優れていれば、手法に特許でも取らない限り、大出版社も同じシステムにしてくるだろう。

佐藤さんの日記を読む限り、儲けを独り占めしたいタイプではなく、むしろ、自分を犠牲にしてでもマンガ界のために改革の先鞭をつけたいタイプと見た。
ぜひ、隠さずにアイデアを公開すべきだと思う。

もし、見切り発車的なアイデアしかないのであれば、もう一度よく考えてみたほうがいいと思う。
佐藤さんの場合、現状ではかなり出版社、編集者の反感を買っており、中途半端な位置にいる新人や中堅マンガ家が佐藤さんのシステムに参加した場合、それだけでマイナスイメージがついて、下手すれば干される可能性もあるからだ。

佐藤さんのシステムで売れれば問題ないが、売れなければ、もう元に戻れないリスクを背負うかもしれない。
そこまで責任を負う覚悟を佐藤さんはお持ちなのだろうか。
そんなのは自己責任でしょ、と思っておられるなら、先にサイト上でご自身の企画を全て明らかにすべきではないだろうか。
問い合わせがあれば個別に説明します、ではなく、公開して批評の俎上にのりますという覚悟が必要ではないか。

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