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文民統制は方便である

例の田母神氏の問題。
「こんな思想の持ち主が空幕長になれてしまう自衛隊は組織として非常に危険だ。これじゃシビリアンコントロール(文民統制)は機能し得ない」みたいな意見が野党やマスコミから噴出している。

でも、本当にイザという事態になった時、この「文民統制」ってやつは日本の国民にとってプラスに働くのだろうか。

「文民統制」というのは、基本的な部分を大ざっぱに言ってしまえば、「憲法九条の専守防衛思想を厳守し、先の大戦時のような軍部の独走を許さず、軍人の行動は一般国民がコントロールしなきゃいけない、という考え方だろう。

これは一見当たり前の考え方なのだが、じゃあ例えば北朝鮮でクーデターが起こって、将軍様や幹部がヤケクソになって周辺国に向けて核ミサイルを発射しかけたらどうする?

衛星で上から見ると、もう明らかにミサイルを設置し、燃料を注入している、というような場合、今の日本は1発こちらの領土に被弾しない限り、こっちから先に攻撃はできない。専守防衛だから。
いや、被弾してもそれが山の中とかで、人的被害も少しはあったけど重大な被害ではない場合、即反撃の断を下すにはシビリアンコントロールが足枷になるかもしれない。実際、誰が総理大臣や防衛大臣でも、すぐさま反撃の命令を自衛隊に下せるだろうか。

また、逆に、いきなり東京のど真ん中に飛んできたらどうなるのか。1発で日本の指揮命令系統がなくなってしまうかもしれない。
この場合は、北朝鮮が発射する前にミサイルを発射台もろともこっちのミサイルなり空爆なりで破壊できるのか。できないだろう。専守防衛だし。

たしか自衛隊はその手の攻撃用ミサイルは通常配備してないはずだし、空爆に行く命令も出せないだろう。
アメリカ軍がやってくれる?そんなのわからないじゃないか。
だから迎撃システムをアメリカから買って配備した?うまくミサイルに当てられなかったらどうするの?

こういう場合、田母神氏のような思想の指揮官や隊員が必要なんじゃないだろうか。
後で処罰され、それこそ退職金など一銭も出ない懲戒免職になり、しかも刑務所に入れられるかもしれないが、国民の生命財産を守るためにここは決断し行動する、こういう人々が自衛隊に1人もおらず、全員がしっかりカッチリ文民統制されていたら、イザという時にもずっと硬直したままなのではないだろうか。

こんなのは空論だと言われるかもしれない。
じゃあ、阪神大震災はどうだろう。
当時の村山総理は被災地に直ちに自衛隊を送らなかった。自治体の長が要請しなかったとかそんなことは無視して、村山は自分の人生全部をかけ、社会党が崩壊してもかまわないから、法律手続き無視して即行で自衛隊を送るべきだった。家がつぶれ、下敷きになり、火が回ってきて死にかけている人々を自衛隊の技術と勇気と人海戦術で助け出していたら、数百人以上は助かっていたのではないか。水をまくヘリだってすぐに出せたはずだ。

でも、村山は「シビリアンコントロール」でがちがちに縛られていた。多分、思想的に心そのものが縛られていた。
あの時、小泉純一郎が総理だったら、安倍晋三が総理だったら、全然結果は違っていただろう。中曽根康弘でもよかった。
宮沢喜一や菅直人、鳩山由紀夫では危なかっただろうが。ちなみに、小沢一郎なら大丈夫だったと思う。あの頃の小沢なら。

「シビリアンコントロール」は方便だと思う。軍隊を保持していくための方便。こう言わないとマスコミも左翼野党も自衛隊の存在を許してくれない。イザという時はコントロールをひっぱがすが、それは黙っておく。普段はしっかりシビリアンコントロールされておく。それが賢い軍人だろう。

だから、田母神氏は本当に馬鹿だと思う。

でもまあ、これを機に、深い深い議論が行われるならいいかも。そこまで田母神氏が計算していたとしたならたいしたもんだが、パッと見の印象ではあんまりそういうふうには見えないな……。

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